Look for a clean stone

スピネルに期待

2019年4月

今回はスピネルについてお話し致します。

スピネルとルビー

スピネルをご存知の方は、宝石についてある程度知識がある方だと思います。ヨーロッパでは昔からスピネルはよく知られた宝石で、ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドと並び五大宝石の一つに数えられることもあります。

ただしそのヨーロッパでも、スピネルへの理解が深まったのは18世紀後半のことで、それまでスピネルとルビーは区別されていませんでした。英国王室の「大英帝国王冠(インペリアル・クラウン)」の正面を飾る超大粒の宝石は、以前ルビーと考えられていましたが、実はスピネルだったという有名なお話しもあります。

スピネルとルビー・・・両者の違いを見極めるためには、ある程度目が慣れなければなりません、ご参考までにスピネルとルビーの写真を以下掲載させていただきます。両方ともミャンマー産の非加熱、最高色の石です。

 

どっちがスピネルかお分かりでしょうか?

正解は左がルビーで右がスピネルです、ルビーにしもスピネルにしても個体差がありますし、産地よって色合いも違います、ですから一概には言えないのですが、最高品質の石どうしを比べると、左のルビーは少し赤黒く深みのある色合いですが、右側のスピネルはすっきりとして明るい真っ赤です。

といっても目が肥えてくるまでは、ほとんど両者の差はわからないと思います、むかしの人がルビーとスピネルを一緒くたにしていたのも頷けます。

両者の価格差は

このようにルビーとスピネルは、見た目では大差ないのですが、両者の価値には随分と開きがあります。

以下のグラフはアメリカの宝石商National Gem Stone 社が集計する、ルビーとスピネルの価格推移グラフです、いずれも世界最高峰といわれるミャンマー産の、非加熱最高級の石の小売価格で、1975年から2018年までの推移です。


(上段はミャンマーのモゴック産非加熱ルビー、1カラット最高級品の価格、単位はドル)
(下段はミャンマー産非加熱スピネル、1カラット最高級品の価格、単位はドル)
(いずれもアメリカの宝石商National Gem Stone 社サイトより転載)

ご覧のように、ルビーは昨年も値上がりし60,000ドル(約670万円)に達しましたが、スピネルはまだ6000ドル強(約70万円)にすぎません。価格差は10倍ほどにもなります。

ではそれ以上のサイズの石の価格はどうでしょう。

いつも申し上げていますが、例えば2カラットのルビーの価格は、1カラット石の2倍ではありません、実際にミャンマーに行きますと、1カラットのルビーが100個売りに出ているとすれば、2カラット石はせいぜい2つか3つほどしか見つかりません。このことはルビーのサイズと価格の関係に反映されることになります、宝石はコインと同じく希少性によって価格が決まります、ですから2カラット石の価格は1カラット石の2倍ではなく、6~7倍ほどにもなるのです。

スピネルも同様ですが、幸い今のところはルビーほどの価格差は大きくありません。

上記で1カラットのモゴック産、最高品質のスピネルの小売相場を70万円ほどと紹介いたしましたが、スピネルなら2カラット石でも250~280万円ほどで手にいれることができますし、3カラットほどの大粒石ですら500万円ほどで入手可能です。つまり1カラット石と2カラット石の価格比は4倍以内に過ぎません。

(5.35カラット、ミャンマー産非加熱レッド・スピネル、現在の小売価格は1500万円~2000万円ほどですが、そもそも日本でこれほどの高品質な大粒スピネルを見ることはありません、年に一度東京で開催される宝飾品展示会でも・・・)

スピネル相場の見通しは

といっても、ミャンマー現地で高品質なレッド・スピネルの入手は、近年どんどん難しくなってきています、たまにいい石が出てきても、大半は中国人バイヤーによって高値で買われてしまいます。最近、中国人バイヤーは奥地のモゴックまで進出するようになりました。そのような理由から、日本国内で投資に値する良質なスピネルを見つけることは難しくなりました、このあたりの状況はルビーやサファイアも同様で、本当に良い石は中国に流れてしまいます。

では今後はどうなのでしょう。

現地バイヤーからの情報によりますと、ミャンマー政府は向こう2年ほど鉱山の権益を新規に与えない方針だとのことです、環境への負荷や資源の枯渇への懸念からだそうです。たとえ採掘権を与えたところで、すでにスピネルもルビー、サファイア同様、以前ほどは採れそうにありません、逆に需要のほうは中国を中心に台頭するアジアの富裕層からの引き合いがますます強く、今後も需給のアンバランス状態は解消しそうにありません。

ルビー、サファイア、スピネルのなかで、僕が特に注目しているのはスピネルです。

中国人が好む赤い石・・・一方のルビーは価格が高騰してしまいましたし、何しろ大粒石の売り物はめっきりと減ってしまいました、消去法的に中国人の買いは大粒のレッド・スピネルに向かう可能性が高いのではないかと思います、ドイツの鉱物学者マックス・バウザーが1896年代後半に書いた「プレシャス・ストーン」という本に、以下のような記述があります。

「スピネルはキズが少ないため、ルビーより上質なものが手に入る」「1カラットのレッド・スピネルは、ルビーの約半額の5~7ポンドである」

現在レッド・スピネルはルビーの1/10ほどで買えますので、当時の半額より割安です。幸いにも3カラットほどの大粒スピネルですら、現地で良質な石が比較的容易に入手できます、高品質で大粒なレッド・スピネルやホットピンク・スピネルがあれば、購入されることをお勧めいたします。

僕自身もスピネルを強めに仕込んでおきたいと思います。

  • 株式会社 銀座なみきFP事務所
  • アンティーク・コインで資産を運用する
  • 無理せず安全に不動産投資をするために
  • 通販サイト「ときいろ」